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老人ホーム入所で空家の建物の敷地についての小規模宅地等の特例

小規模宅地特例の適用を受けるためには、相続開始直前において被相続人がその宅地を居住の用に供していたことが必要です。国税庁のHPの質疑応答事例において、この「居住の用に供す」とは、「生活の拠点」を意味するとして、次の状況が客観的に認められるときは、被相続人が、老人ホームに入所したため、相続開始の直前においてそれまで居住していた建物を離れていた場合においても、被相続人が居住していた建物の敷地は、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するものとして差し支えないと説明しています。

(1)
被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。
(2)
被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。
(3)
入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
(4)
その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。

しかし、東京地裁は8月26日、同じような事例において、「居住の用に供す」ことを意味する「生活の拠点」について異なる判断を示しています。すなわち、その者の日常生活の状況から総合勘案すべきとしており、本件の場合は、次の理由から、生活の拠点は老人ホームであり、小規模宅地等の特例は適用できないとしています。

(1)
被相続人は外泊することなくもっぱら老人ホームで生活している。
(2)
被相続人は、介護を必要として老人ホームに入所していて、早期回復の見込みは無く、相当期間生活することを見込んでいた。

当然、個別の事案の事実関係に照らして個別に判断すべきものではありますが、相続税額に多大な影響を与える特例の適用に関するものだけに、東京地裁の判断は今後の相続税申告に大きな影響を与えることが予想されます。